JEM修理部のメカニックはそれぞれ自分専用の道具箱と作業用のランプを持っています。箪笥のように大きな道具箱には引き出しがいくつも付いていて、各自が使いやすいように整理されています。それぞれの引き出しにスパナなどの道具を種類ごとに分けて長いものから短いものと順番に並べて整頓し、一日の仕事の終わりに使用した道具を磨いてもとの場所にきちんと戻すメカニックや、どの引き出しもお構いなくごちゃ混ぜに道具を入れているが、どこに何があるか本人のみ認識しているメカニックなど道具箱を覗けばメカニックの性格が想像できて面白いです。
作業の流れはワークショップコントローラーが仕事をメカニックに振り分け、お客様の車をそれぞれのランプにもって行きます。メカニックは作業がしやすいようにランプの高さを調節して仕事に取り掛かります。普段はランプの上に車を載せ作業をしていますが年に数回、車から取り出されたエンジンのみがぽつんと置かれ修理されていることがあります。理由はタイミングベルトが切れた勢いでエンジンにダメージがいき修理されているものなど様々ですが、一番多いのはもとのエンジンが寿命で死んでしまい他の中古のエンジンをその車に合うように調整しているものです。
エンジンに寿命が来ているくらいですから車年齢はゆうに18歳は過ぎ、おそらく他の部品も一通り交換済みです。エンジンが故障=廃車と認識していた私は初め約£2000もの費用を出して18年以上もたった車を修理する英国人オーナーが信じられませんでした。彼らのほとんどはトヨタエスティマなど6~7人乗れる大きな車のオーナーです。理由は簡単、£2000出しても同じ大きさの車は購入できないから。彼らのものを大切にする精神に感心しつつ、おそらく車の外装以外はオリジナルの部品をとどめていないであろう車に慈悲の念を抱いてしまいました。
ドライブレコーダー
映像の有無が過失責任の割合判断に役を果たす事も。